海外勤務経験者に退職金を支給する際の注意点 | 中央区 日本橋 茅場町の税理士事務所 - 細谷有子税理士事務所
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2015年11月16日

海外勤務経験者に退職金を支給する際の注意点

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海外の子会社へ出向経験していた社員に支給する退職金の計算はどうなるでしょうか。

退職時には日本に住んでいますが、その後は海外の関連会社に勤務するため、退職金支給時に居住者かどうか不明な社員に対する退職金計算の留意点について解説いたします。

 

退職日に居住者であれば居住者として所得税が課税

退職金支給時に、居住者であるかどうかが不明な場合、退職金に係る源泉所得税の計算については、一般の国内勤務者の退職金支給時と同様の計算方法となります。

退職所得に係る源泉所得税の計算にあたっては、退職所得の課税時期がいつなのかが重要になります。この点について所得税基本通達36-10では次のように定めています。『退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする』。つまり収入すべき日(退職日)に居住者であれば、居住者として所得税が課税され、非居住者であれば非居住者として所得税が課税されます。

この通達を今回の事例に当てはめると、この社員は退職の日において日本国内に住所を有しているため、居住者に該当します。過去に長期間の出向経験があったとしても、退職日に居住者として支給される退職手当等のすべてについて、一般の国内勤務者に対する退職金と同様に所得税が課税されます。

このように一般的には、退職金に対する所得税の課税時期は、「退職の日」で居住者・非居住者の判定をするため、「退職金支給時」及び「退職後」における納税義務者の区分(居住者なのか非居住者なのか)は、退職所得に係る源泉所得税の計算上関係ありません。

 

居住者と非居住者の判定に注意

ただし、今回の事例の社員の退職時の滞在地が2ヵ国以上にわたる場合は、その住所がどこにあるかを判定する必要があります。

所得税法では、居住者とは、国内に住所を有し、または、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいい、居住者以外の個人を非居住者と規定しています。住所は、個人の生活の本拠をいい、生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定することになります。

したがって、今回の社員の退職時の滞在地が2ヵ国以上にわたる場合には、職務内容や契約等を基にしてその社員の生活の中心がどこにあるのかによって判定することになります。その結果によって源泉所得税の計算も異なることになります。